日本のワインって、どんな特徴があるの?

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日本のワインも、最近は海外でも注目されるようになりました。外国のワインとどう違うのでしょうか?

国産ワインの約46%が白、約43%が赤

日本は南北に長くて地形も複雑なので、各地で気候がずいぶん違いますね。世界のワイン生産地と比べて雨が多くて湿度が高いので、ワイン用ブドウの栽培は難しいと言われていました。
けれども近年、ブドウ品種の改良や日本の土壌に合った栽培方法などが開発されたので、良質のブドウやワインが生産されるようになりました。

国内製造ワインの生産量約82万hLのうち、約20%に当たる約17万hLが日本ワイン※1です。そのうち、白ワインが約46%、赤ワインが約43%、スパークリングワインが約5%、その他約6%です。※2

※1  日本ワイン:国産ブドウのみを原料とする果実酒を指す。
※2 『国内製造ワインの概況』(平成30年度調査分/国税庁課税部酒税課)より

日本ワイン生産量のトップは山梨県

日本で一番多い白ブドウ品種は甲州種で、うち90%以上が山梨県産です。また、黒ブドウ品種で一番多いのはマスカット・ベイリーA種で、約50%が山梨県産です。

日本ワインの生産量1位が山梨県で、2位の長野県、3位の北海道、の上位3道県で生産量全体の約70%、上位10道県で生産量全体の約90%を占めています。

日本のワインの産地別特徴

国内の果実酒製造場のうち、ワインの生産や出荷の実績があるワイナリーは331場で、ワイナリー数の上位5位は山梨県、長野県、北海道、山形県、岩手県で、日本ワインの生産量と同じです。
また、上位5道県のワイナリー数は、日本全体の約56%です。

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では、それぞれの生産地がどんな特徴なのか、ご紹介します。

●山梨県(ワイナリー数:85場)
生産量、ワイナリー数ともに1位の山梨県は、日本のワイン造り発祥の地。特に、甲府盆地は季節や一日の寒暖差が大きく、日照時間が長くて降水量が少ないので、ブドウの栽培に適しています。代表的な品種は甲州種とマスカット・ベイリーA種の2品種で、甲州種は日本全体の約90 %、マスカット・ベイリーA種は日本全体の約50%が栽培されています。

●長野県(ワイナリー数:38場)
長野県内の農耕地の80%以上が標高500m以上の高地です。松本、佐久、長野、伊那という4つの盆地がブドウの主な要栽培地で、主にコンコード種、ナイアガラ種が栽培されています。また長野県は、2003年に日本で初めて原産地呼称管理制度※2を導入しています。

※2 原産地呼称管理制度
農産物の原料や栽培方法、飼育方法、味覚を区別化して、「その地方で生産・製造されたもの」を消費者にアピールしながら生産者意欲を高め、農産物のブランド化を目指す制度です。

●北海道(ワイナリー数:37場)
後志地方(余市町など)、空知地方(岩見沢市など)、上川地方、十勝地方が主な栽培地です。
白ワイン用品種では、ナイアガラ種、ケルナー種など、赤ワイン用品種では、キャンベル・アーリー種、ツヴァイゲルト種などの生産量が多く、ピノ・ノワール種の生産量も近年増加して全国の約半分を生産しています。自社畑を持った小規模ワイナリーが多いのも、北海道の特徴です。

●山形県(ワイナリー数:15場)
古くから果樹栽培に適した地域とされ、内陸部に位置する置賜盆地と山形盆地、庄内平野が主なブドウ栽培地です。デラウェア種とマスカット・ベイリーA種の生産量が多いです。

●岩手県(ワイナリー数:11場)
北上川流域の県央から県南(北上盆地周辺)、県北、沿岸部の南部が主なブドウ栽培地です。
キャンベル・アーリー種、ヤマブドウ種、ナイアガラ種、リースリング・リオン種などの生産量が多いのが特徴です。

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日本にも工場見学や試飲ができたり、ワインショップやレストランなどが併設されているところもあるので、訪れてみると楽しそう!

日本のワイナリーの例

千歳ワイナリー (北海道)
ワインシャトー大迫(岩手県)
秋保ワイナリー(宮城県)
朝日町ワイン城(山形県)
NASU WINE 渡邊葡萄園醸造(栃木県)
しんとうワイナリー(群馬県)
牛久シャトー(茨城県)
ロリアンワイン白百合醸造(株)(山梨県)
中伊豆ワイナリー シャトーT.S(静岡県)
シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリー(山梨県)
本坊酒造マルス山梨ワイナリー(山梨県)

 

モンデ酒造(山梨県)
カーブドッチワイナリー(新潟県)
ハイディワイナリー(石川県)
カタシモワイナリー(大阪府)
河内ワイン館(大阪府)
島根ワイナリー(島根県)
おかやまフォレストパークドイツの森 是里ワイナリー(岡山県)
せらワイナリー(広島県)
広島三次ワイナリー(広島県)
さぬきワイナリー(香川県)

 

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ワイナリー見学や、ワインとの相性体験などが楽しめるディナーが2回もあったり、国産チーズと国産ワインのペアリング解説も付いたセミナーもありますね。ワインに興味を持った方はかなり楽しめそうです!
中伊豆ワイナリーでのセミナーはこちら⇒「中伊豆ワイナリーでワインのホントの楽しさを学ぶ1.5日留学プログラム」

2018年に「日本ワイン」がデビュー!

世界では、「ブドウやブドウ果汁を発酵させて造られたもの」しかワインと呼べませんが、日本ではブドウ以外の果実を原料としても、ドライフルーツのような加工品を使用しても、ワインと呼べました。

また以前は、海外から輸入されたブドウ、ブドウ濃縮果汁やワインが原料でも、国内で醸造やブレンドをすれば、国産ワインを名乗ることができました。

それらが、日本のワイナリーの評価を下げるとして改善の結果、2015年に「日本ワインと表示できるのは、国産ブドウのみを原料とする果実酒のみ」と国税庁から告示され、2018年から完全に施行されました。
このように、日本ワインの規定が厳格化されたので、日本ワインに対する国内外の注目度が上がりました。その他、日本ワインに対する注目度向上の要因は次の通りです。

●各ワイナリーにおける醸造技術や栽培技術が向上したこと
●ワイン特区が誕生し、ワイナリーの創業が容易になったこと(2003年)
●農地法改正で自社畑の所有が容易になり、ブドウ栽培から手がける醸造家が増えたこと(2009年)
●地理的表示「山梨」が国税庁告示で指定されたこと(2013年)
●各種国際ワインコンクールで日本ワインが受賞を果たすようになったこと

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なるほど、「日本ワイン」と言うためには、厳しい条件をクリアする必要があるわけです。信頼度がグ~ンとアップしますね。

【参考】
・『酒仙人直伝 よくわかるワイン』 出版:NPO法人FBO
・『新訂 ワインの基』出版:全日本ソムリエ連盟(ANSA)/NPO法人FBO
【注意事項】
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さけぱる編集部
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