HOME 記事 ワインを知る・学ぶ ワインに使われる酸化防止剤(亜硫酸塩)を、やさしく解説! ワインに使われる酸化防止剤(亜硫酸塩)を、やさしく解説! 2021.12.16ワインを知る・学ぶ 多くのワインに酸化防止剤として使用されている亜硫酸塩ですが、“なぜ”使われているか知っていますか?今回はワインの添加物として使用される「亜硫酸塩」について解説します! 亜硫酸塩ってなに?効能は? 亜硫酸塩(別名:亜硫酸ナトリウム)の正体は、硫黄を焼いた際にできる物質です。火山など自然界に存在する物質で、古代エジプトや古代ローマ時代からワイン造りに利用されていたと言われています。とてつもなく長い付き合いなんですね! ワインにおける亜硫酸塩の効果は、大きく二つあります。 ① 酸化防止効果亜硫酸塩自体はとても酸化しやすい物質のため、ワインの中に入れてあげると他のさまざまなワインの成分を差し置いて、酸素と結合し始めます。つまり他の物質が酸素と結合する、『酸化』から守ってくれているんです。さらに、アルコールが酸化することでできるアセトアルデヒドと結合して、状態を緩和する効果もあるんですよ。 ② 殺菌効果ワイン樽などの醸造器具の殺菌のために使われたり、ワイン内での有害な雑菌の繁殖を防ぐために使用されます。ここまででもわかる通り、ものすごい働きっぷりです! しかし、亜硫酸塩は脱色効果もあるため、使用量が多すぎるとワインの色が薄くなったり、亜硫酸塩の臭いがワインの香気に悪影響を及ぼすなど、デメリットも存在します。 現代では、いかに少ない量で最大の効果を発揮させるかは、造り手の手腕にかかっているんです。 亜硫酸塩の人体への影響は? 人体の影響に関してこんなことを聞いたことはありませんか? 「酸化防止剤(亜硫酸)が入っていると二日酔いでひどい頭痛に襲われる。」「酸化防止剤(亜硫酸)が入っていると悪酔いする。」「酸化防止剤無添加ワインなら頭が痛くならない。」 ワインを飲んだ後にこれらを経験されたことがある方もいるのではないでしょうか。では、実際のところはどうなのでしょう。 高濃度の亜硫酸塩を摂取すれば、人体に悪影響があることは言うまでもありませんが、ワインに添加される量は他の食品類と比較しても非常に低濃度です。こちらの表は、厚生労働省が規定している亜硫酸塩の使用上限です。 ご覧の通り使用量は他と比較しても少ないことがわかりますね。また、亜硫酸塩の半分近くはワインに添加された時点で糖分などの成分と結合し無害な状態になること、ボトリング後も時間の経過にともない徐々に減少していくことから、身体に作用する量はより少なくなります。ちなみに、かんぴょうやドライフルーツには脱色のために亜硫酸塩が使われているため、含有量が非常に多くなっているんですよ。 現在のところ、ワインの飲みすぎで亜硫酸中毒になったという事例は報告されていません。ただ極々稀に亜硫酸に過敏な人が、飲んだワインが原因で頭痛を起こす場合もあるそうです。しかし頭痛を起こした経験のある(私を含めた)大多数の人は、亜硫酸よりも過剰なアルコール摂取が原因とされているそうです。 ワインを飲むときには一緒に水を飲んだり、おいしくても飲み過ぎないように注意することが、一番の二日酔い予防なり! 最近では、ワイン生産者は酸化防止剤を必要最小限にしようと工夫し、実際に添加量は減少傾向にあるそうです。しかし日常的にワインを飲んでも健康に害を及ぼすことは少ないとはいえ、あまり飲み過ぎない方がよさそうですね! 【参考】 ・『酒仙人直伝 よくわかるワイン』 出版:NPO法人FBO ・『新訂 ワインの基』出版:全日本ソムリエ連盟(ANSA)/NPO法人FBO 【注意事項】 ・記事、データ等の著作権その他一切の権利は 全日本ソムリエ連盟(ANSA)/NPO法人FBO に帰属します。・記事・データ等は予告なく変更する場合がありますのでご了承ください。 ライター紹介🍶 さんちゃそ 作って食べて飲むことが、趣味であり人生最大の楽しみ。その過程で学んだ副産物を「知識のメモ」として記事に残しています。 ワインをもっと知りたい人におすすめの書籍や資格情報 Tweet Share RSS この記事のタイトルとURLをコピーする ワインを知る・学ぶ そろそろクリスマス&年末年始・・・泡ものの出番です! 日本酒まずはここから! 1銘柄1豆知識 ~司牡丹 仁淀ブルー(司牡丹)~