大人が嗜むバレンタインデー!お酒×チョコレートのすすめ(前編)

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今回は、毎年2月14日に、世界各地で「愛(または恋人たち)の日」として祝われている「バレンタインデー」についてのお話です。

日本では、女性が男性にチョコレートを贈る日として知られており、最近では男性から女性へプレゼントをするというケースや、友だちみんなでチョコを交換する風景もよく見られますね。
また、お酒と楽しむためのチョコレートが登場するなど、その楽しみ方は年々、多様化しています。
そこで今回はお酒とチョコレートの深い関係をお話しします。
◎この記事でわかること
意外と知らないチョコレートの歴史がわかります!
世界のバレンタインデー文化の違いがわかります !
お酒とチョコレートの美味しい関係が分かります !
それでは始めましょう!

チョコレート×歴史

意外にも、チョコレートの歴史は飲み物としてスタートしました。
カカオを最初に南米からスペインがヨーロッパへ持ち込み、そこからヨーロッパの王族や貴族を中心に広まりました。
当時のチョコレートは、カカオを細かくすり潰した後に温めて液状化したところに砂糖、蜂蜜、シナモン、アニスやブラックペッパーなどで味を調えたホットチョコレート(ココアの原型)でした。
しかし、ザラザラとした舌触りで酸味も強い飲み物だったそうです。
その原因は、カカオに含まれる大量の油分が、水分と混ざりにくいうえに、分離しやすい状態だったからなんですね。

そんなチョコレートは産業革命を経て、目覚ましい発展を遂げていきます!

目覚ましい発展、その1
<技術革新の全ての始まり>
まず登場するのは、ココアの名門『ヴァン・ホーテン』でお馴染みのヴァン・ホーテンファミリーです。
彼らはカカオ豆に50%以上含まれているココアバターを28%程度までに減らし、さらに、お湯に溶けやすいように、固形化したカカオマスを砕いて粉末状に加工しました。
ずばり、ココアパウダーの誕生です!
また、カカオ内の酸を中和させることで、酸味を減少させて飲みやすくすることにも成功しています。
これによって色調・風味・食感は大きく向上することとなりました。
この製法はダッチプロセスと呼ばれ、現在まで継承されている製法なんですよ。

目覚ましい発展、その2
<『飲む』チョコレートから『食べる』チョコレートへ>
イギリスのジョセフ・フライによって、最初の固形チョコレートが完成しました。
作り方はシンプルで、ココアパウダーと砂糖を混ぜたものにココアバターを加えたというもの。
ココアバターは常温で固形化する性質を持っているのため、『食べる』チョコレートの完成となります。
ちなみに『飲む』チョコレートが主流であった当時の固形チョコレートの名称は「Eating Chocolate」。
まだまだ馴染みのうすい、新参者って感じがしますね。

目覚ましい発展、その3
<みんな大好きミルクチョコレート>
前述した固形チョコレートは、そのままでは食べにくいものでしたが、その問題を解決したのがスイスのダニエル・ペーターです。
彼は長い研究の末、ミルク内の水分を取り除いたミルクパウダーを使用することでついにミルクチョコレートの開発に成功します。
また、これには諸説あり、ダニエル・ペーターが一人で開発したという説や、アンリ・ネスレ(ネスレの創業者)との共同開発であった説など、現在も検証が続いています。

目覚ましい発展、その4
<「なめらかさ」の追求!>
ここまで「ココアパウダー → 固形チョコレート → ミルクチョコレート」と、順調に発展を遂げてきたチョコレート。
最後のピースとなるのが、この「なめらかさ」の開発です。
というのも、当時のチョコレートはザラザラと食感が良くなかったのだとか。
これを解決したのがスイスのルドルフ・リンツでした。
彼はチョコレート原料を加熱しながら長時間、強力に攪拌して内部の空気を抜き、徐々に液状化をさせる『コンチング(精錬)』という工程を確立させました。
これによってなめらかで美味しいチョコレートを作ることが可能となったんです。

チョコレート×バレンタインデー

バレンタインデーの由来は古代ローマ時代にまでさかのぼります。
当時、皇帝の命で兵士の結婚は禁じられていましたが、これに反対したバレンタイン司祭は多くの兵士を結婚させていました。
そして反逆の罪で捕らわれたバレンタイン司祭は西暦270年の2月14日に死刑となってしまいます。
その後、バレンタインの殉教した2月14日はローマカトリック教会の祭日となりバレンタインデーと呼ばれるようになります。
さらに、司祭の死を悼む宗教的行事として始まったバレンタインデーですが、14世紀あたりから愛の告白やプロポーズの贈り物をする日へと代わり、宗教的儀式から大衆文化へと姿を変えて、現代へと続いてきているんです。

バレンタインデーの楽しみ方は世界各国で違いがあります。
欧米では「カップルの日」というスタイルで「男女どちらから」という決まりはなく、プレゼントや花束を贈りあったり、豪華なレストランで食事をして過ごすんだそうです。
その他にフィンランドでは「友情の日」として親しまれており、バラやチューリップなどの花を贈りあったり、アメリカでは男性から女性へ愛を伝えるという形が多いようですね。

アジアに目を移すと、韓国では日本と同じように女性から男性へチョコレートを贈りますが、中国や台湾では男性が女性に高級品やペアアクセサリーなどをプレゼントしたり、食事をごちそうしたり、真っ赤なバラの花を贈るそうです。ちなみに台湾ではバラの本数でメッセージに違いがあるそうですよ。

↓これからはバラを貰ったら本数を数えてみましょう!

日本のバレンタインデーは基本的には女性から男性にチョコレートを贈り、愛の告白をする日として知られていますが、最近では男性から女性へ送るケースも多く見られますね。
この「女性から男性へチョコレートを贈る」というバレンタインの風習は日本独自の文化で、1960年代後半から始まったと言われています。
それから、友人やお世話になっている人に贈る「義理チョコ」や「友チョコ」。男性から女性へお返しする「ホワイトデー」も日本独自の文化なんですよ。

チョコレート×お酒 

最近では、お菓子とお酒のペアリングやマリアージュといった楽しみ方を見かける機会が増えてきましたが、どうやって組み合わせれば良いのか難しいですよね?
では、基本的なお酒とチョコレートを合わせる際のポイントを見てみましょう。

ポイント①
濃厚なチョコレートには、それに負けないくらいの存在感を持ったお酒を合わせるのが大切です。
辛口すぎたり、スッキリしすぎているものは合わせにくいとされています。

ポイント②
例えば、甘口のチョコレートには同じく甘口のお酒を合わせる味わいの「相乗効果」や、苦味のあるカカオ高配合のチョコレートに甘いお酒を合わせて味わいに「変化」を付けることでどちらも美味しく感じることができちゃいますよ。

ポイント③
「いつ・どこで楽しむもの」であるのかを考慮することは、すべてのプレゼント選びの基本ですよね。
バレンタインであれば、せっかくなので二人で、またはみんなで一緒に楽しめる素敵な組み合わせを選びたいですね。

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ここまで、バレンタインの歴史や各国での文化の違いについてを見てきたうえで、「チョコレート×お酒」のポイントをお話しました。
次回、後半ではいよいよお酒と合わせると良いチョコレートの具体例をご紹介します!

【参考】
・武田尚子著『チョコレートの世界史』中央公論新社 (2010/12/1)
日本チョコレート・ココア協会ホームページ
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ライター紹介🍶

さんちゃそ
作って食べて飲むことが、趣味であり人生最大の楽しみ。
その過程で学んだ副産物を「知識のメモ」として記事に残しています。

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