食べるだけじゃないお米の話

日々少しずつ肌寒くなり、夜が長い季節になりました。
クツクツと煮込んで味がたっぷり染みた料理が恋しい今日この頃です。

このイベント盛りだくさんの季節、皆さんは何を思い浮かべますか?

そう。新米の季節ですね。

日本に住んでいたら、ほぼ毎日食べているだろうお米。
日本で栽培されている食用米は「うるち米」と「もち米」に分かれますが、食卓によく並ぶのは、もち米に比べると粘り気が少ない「うるち米」です。

無類の炭水化物好きの筆者は、お米や食べ物が美味しいこの季節がとても好きです。
いつもは炊飯器でお米を炊きますが、たまには気分を変えて土鍋でお米を炊くのもまた一興。
新米だとなおのこと美味しく感じられます。

ところで、「新米」とはよく聞くけれど、そもそも「新米」の定義とはなんなのでしょうか?

農林水産省HPを確認してきました。
『1.原料玄米が生産された当該年の12月31日までに容器に入れられ、若しくは包装された玄米
2.原料玄米が生産された当該年の12月31日までに精白され、容器に入れられ、若しくは包装された精米であれば「新米」と表示できます。』
※(https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1710/01.html)より引用

つまり、2021年に作ったお米を2021年12月31日までに包装してしまえば、それが「新米」と表示できるわけですね。
関東だと8月末頃にお米の収穫が始まり、9月頃から新米が出回り始めますので、今がまさに旬の時期といえます。

さらに、農林水産省HPでは美味しい新米の美味しく炊くコツまで記載がありました。
『新米を炊飯する際に、水を少なくする理由は、新米は細胞組織が軟らかいため、加熱時間が短くてすむからといわれています。
新米も含めて、美味しいご飯を炊くコツは「米」と「水」と「熱」のバランスとタイミングにあります。下記のポイントをおさえると、さらにおいしさがアップします。』

とのこと。詳しい炊き方の手順まで載ってますので、気になる方はぜひそちらも見てみてくださいね~!

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ここからは、普段筆者が食べているお米の種類を実際に比べてみます。

食用米4種の特徴を実際に比較してみる

筆者は、お米を買うとき下記の4種を気分によって、ローテーションして購入し食べているのですが、比べてみると同じお米でも違いが分かります。
※味の感想はあくまでも個人の見解ですので、ご了承ください。

つや姫

名前の通り、艶があり色は白く、粒がしっかりし、そろっている。
甘み・うまみがあり口あたりがよいのが特徴です。主に山形県で栽培。
初めて食べた際に、おいしいな…という印象がありました。
ちょっと他のお米に比べるとお値段するのですが、美味しいので買ってしまいます。
参考サイト:
山形「つや姫」「雪若丸」ブランド化戦略推進本部https://www.tuyahime.jp/
JAグループhttps://life.ja-group.jp/food/okome/detail?id=124

コシヒカリ

主に新潟県で栽培。お米の王様といわれるほど、誰しも名前を聞いたことがある有名な品種。
お米の特徴は、炊いたご飯が白くて艶があること、食べたときに粘り、かすかな甘み、香りがあることです。
筆者は、この「コシヒカリ」、味の濃いものからあっさりしたものまで、なんにでも合わせやすいなという印象を持っています。
参考サイト
新潟県庁:https://www.pref.niigata.lg.jp/
お米の説明はこちら

ななつぼし

主に北海道で栽培。粒形が崩れにくく、つやもよい。ほどよい甘みと粘りで、冷めてもおいしさ長持ち。
個人的には、あっさりしていて食べやすく、夏場のさっぱりしたものと合わせるのがとても好きです。
参考サイト
ほおばる。がんばる。北海道米LOVE:https://www.hokkaido-kome.gr.jp/

ゆめぴりか

主に北海道で栽培。つややかで美しい炊き上がり。
豊かな甘みで、濃い味わいをしており、北海道米の中で特に粘りが強いお米。
お米食べたい…!となったときにこちらを頂きます。もっちりしているので満足感がすごいです。
きっかけはマツコ・デラックスさんが出演されているCMを見たからです。
参考サイト
ほおばる。がんばる。北海道米LOVE:https://www.hokkaido-kome.gr.jp/


記事では、筆者が良く食べるお米の比較をしましたが、その他にも「あきたこまち」「つがるロマン」「いちほまれ」「夢ごこち」「金色の風」などなど。食用米の種類は今や500種類以上あり、種類の多さに感動するばかりです。
お米の消費量が減っていると噂に聞きますが、こんなに美味しいのにもったいない…!
今が一番美味しいお米の旬であるこの時期に、ぜひお米を食べましょう!

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お米は美味しい(真理!)

さて、この記事のタイトルにもあるように、お米は「食べるだけじゃない」のです。
次からはお米が原料の飲み物、「日本酒」を造る際に使われるお米の話に移ります。

お酒を造るときのお米「酒造好適米」の話

食用米を原料にすることもあるのですが、基本的には、お酒を造るためのお米「酒造好適米(通称:酒米)」を使って日本酒は造られます。
食用米と違い、栽培するのにも大変な労力と技術が必要な上、さらには製造過程で30~60%と削ってしまうのだから、日本酒の原料はとても高価なものなのです。酒造好適米にもさまざまな品種があるので、こちらもどんな種類があるのか、さっそく特徴を比較してみましょう。

沢の鶴株式会社の「実楽山田錦」

山田錦

兵庫県の奨励品種に指定されたお米。
心白(※)が線状で、やや小さいため、よりたくさんの部分が削れるため、大吟醸酒や吟醸酒でよく日本酒造に重宝されている逸材。
ふくよかでやわらか、きれいな香味になりやすいとされています。日本酒のラベルでもよく見かけます!
※心白とはお米の中心が白濁している箇所をさします。

五百万石

新潟県で開発されたお米。全国各地で作ることが出来る強さがあります。
心白が大きいので、あまり削れないのが特徴。粘り気が少なく、日本酒造りに必要な麹がつくりやすい逸材。軽快な香味になりやすいとされています。

天山酒造の「七田」

雄町

岡山県で開発されたお米。山田錦や五百万石の祖先とされています。大粒で心白が大きいため、たくさんは削れないのですが、軟らかく溶けやすいのが特徴なので、濃醇なお酒になりやすいとされています。

出羽桜酒造の「出羽桜」

出羽燦々

山形県の奨励品種に指定されています。大粒で心白が大きいため、たくさんは削れないが、軟らかく溶けやすいのが特徴なので、濃醇なお酒になりやすいとされています。

…など、上記は比較的よく聞く酒造好適米をご紹介したのですが、その他にも「秋田酒こまち」「花吹雪」「越淡麗」などたくさんの種類があります。
原料が日本酒の味わいに大きく差をつけることは少ないと言われますが、
もしそうであれば、こんなにもたくさんの酒造好適米は生まれてないと筆者は思います。
それぞれの特徴を把握していると、自分の好みの日本酒がより見つけやすくなるはず!
今度日本酒を選ぶ際は、吟醸・純米・本醸造…などの「特定名称酒」も大切ですが、少しお米のことを思い出してみてください。

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最後に今の時期にぴったりな日本酒のタイプをお伝えします!

この時期筆者がおすすめする日本酒のタイプ


日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)の考案した「日本酒の香味特性別分類(4タイプ)」の表がわかりやすいのでそちらで表現すると、
この4つの中で「醇酒(じゅんしゅ)」が今の時期にピッタリです。

「醇酒(じゅんしゅ)」は、米の酒ならではの旨味を感じるコクのあるタイプで「ふくよか」という表現がぴったりです。
主に「純米酒」、特に「生酛」や「山廃酛」と書かれたものが該当し、温めて飲むのにも適した日本酒です。

次回の日本酒選びの際に、参考になると嬉しいです。
それでは!

【注意事項】
・記事、データ等の著作権その他一切の権利は日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)に帰属します。
・記事・データ等は予告なく変更する場合がありますのでご了承ください。
【参考】
・『新訂 日本酒の基』出版:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)/NPO法人FBO

ライター紹介🍶

クロ
最近、日本酒の美味しさにハマりだしたタヌキ。スピリッツ・ワイン・ビールetc…お酒はなんでも大好き。
ただし、2杯が限界。アルコールの神に愛されない激弱体質。そのほかチョコレートにも目がない。

日本酒をもっと知りたい人におすすめの書籍や資格情報

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