日本酒の選び方-4タイプを知る-

今日は日本酒を飲もうかな。そう思い立った時、日本酒の売り場やメニューが複雑怪奇で、今日はやっぱり日本酒はやめようと、あきらめてしまった経験は、ありませんか?

でも実は日本酒はもっと気軽に楽しんでもらいたいもの。まずは4つのタイプを知るだけで、好みの日本酒に出会えたり、新しい出会いがあったりと、日本酒選びがずっと楽しくなるはずです。

「辛口の日本酒をください」というオーダーはもう古い?

「辛口の日本酒をください」とお店にオーダーして、いざ飲んでみると思っていた味わいと違う。
飲食店や酒販店で、そんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか?

でも、「辛口の日本酒をください」といった注文の仕方は、実はお店の人が困る表現であることご存知でしたでしょうか?
日本酒の辛口・甘口は人によって感じ方がかなり違うので、単に「辛口」と言われても、非常に選びづらいのです。また、「純米酒で」「生酒を」とオーダーされても、いろいろな味わいのものがありすぎて、判断が難しいのがお店側の本音なんですよね。

え、じゃあ一体どうやって日本酒を選んだらいいの…?
と、思うかもしれませんが、そんな時には・・・

ぜひ、日本酒のソムリエ「唎酒師」のいるお店で自分にぴったりの日本酒を選んでもらいましょう!
唎酒師は全世界に4万名以上いますので、あなたの近くにもきっといるはず!

とは思いますが、24時間365日、いつも唎酒師が近くにいるわけではないですよね。
ということで、日本酒ビギナーの方でも簡単に日本酒の選び方がわかる方法として

日本酒の4タイプ分類を活用することをおすすめします!

日本酒の4タイプ分類は、日本酒のソムリエ唎酒師が使う日本酒の提供販売メソッドの一部で、
日本酒ビギナーにとって非常にわかりやすい表現を使って日本酒を4つのタイプに分類しています。

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日本酒の簡単な選び方を学んで、日本酒をもっと気軽に楽しみましょう。

日本酒のビギナーにも分かりやすい画期的な香味分類

1990年代前半、唎酒師の認定団体である日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)では、より多くの消費者に日本酒を楽しんでいただけるような選択の指標を開発するため、約2万種類以上の日本酒のテイスティング検証を行いその傾向を探りました。
その結果、日本酒は「香り」と「味わい」の組み合わせにより、

・香りの高いタイプ 薫酒-くんしゅ-
・軽快でなめらかなタイプ 爽酒-そうしゅ-
・コクのあるタイプ 醇酒-じゅんしゅ-
・熟成タイプ 熟酒-じゅくしゅ-

の4つに分けられることを発見しました。

これが、現在色々なシーンで使用されている、「日本酒の4タイプ分類」で、正式名称を「日本酒の香味特性別分類(4タイプ)」といいます。

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4タイプのそれぞれを詳しく見ていきましょう!

フルーツのような香りが特徴的な薫酒-くんしゅ- 香りの高いタイプ

●香味の特徴
甘い果実や花のようなフルーティーな香りが特徴です。味わいは比較的軽快なものが多く見られます。マスクメロン、洋ナシ、リンゴ、桃、ユリ、キンモクセイ、すみれのような華やかな香りがするものもあります。

●該当する日本酒
主に「大吟醸酒」や「吟醸酒」と表記されたものが該当します。ただし「純米酒」や「無濾過生原酒」など吟醸酒表記がなくても、フルーティーな香りを生み出す「吟醸酵母」を使用したものは、薫酒に該当する場合があります。
薫酒は、杜氏と蔵人が持てる技量をつぎ込んだ渾身の一滴といえます。1980~1990年頃に吟醸酒ブームがおこり、薫酒タイプの日本酒が一躍人気に。以来、ワイングラスを用いたり、フレンチやイタリアンに合わせるなど、日本酒を楽しむシーンが多様化しました。また、海外での日本酒ブームを牽引しているのも薫酒。現代のニーズに合った日本酒といえるでしょう。

すっきりとした飲みやすさが特徴の爽酒-そうしゅ- 軽快でなめらかなタイプ

●香味の特徴
日本酒としては最も軽快な香味で、すっきりとした飲みやすさが特徴。「淡麗」などと表現されることが多いタイプです。スダチ、カボス、青竹、笹の葉、ハーブ、菜類のような爽やかな香りがするものが多いです。

●該当する日本酒
主に「普通酒」「本醸造酒」「生酒(または生貯蔵酒)」と表記されたものが該当します。新潟県産や北海道産など、淡麗な日本酒造りをコンセプトにする地域で多く見られます。1980年頃にブームとなった淡麗辛口は爽酒に分類できるものが多く、現代人特有のライト嗜好と、リーズナブルな価格により人気を博しました。また日本酒全体の約70%強のシェアを占める「普通酒」「本醸造酒」のほとんどが爽酒に該当することからも、日本酒の中で最も多いタイプが爽酒となります。

米の酒ならではの旨味を感じる醇酒-じゅんしゅ- コクのあるタイプ

●香味の特徴
米の酒ならではの旨味やコクを感じさせる香味。「ふくよか」という表現がぴったりのタイプです。炊きたての米、白玉粉、栗、稲穂、生クリームのようなふくよかな香りに例えられます。

●該当する日本酒
主に「純米酒」、特に「生酛」や「山廃酛」と書かれたものが典型的な醇酒となります。また「無濾過生原酒」といった香味要素の多い日本酒や、アルコール度数が高い「原酒」などでも該当するものがあります。各地の地域特性を反映した「地酒」と呼ばれる日本酒に多く見られる醇酒は、まさに伝統的かつ王道な日本酒といえます。淡麗辛口ブーム、吟醸酒ブームなどを経た今、最も日本酒らしいタイプとして注目度が高まり、各メディアで取り上げられることも多くなっています。

スパイスに例えられる熟成香が個性的な熟酒-じゅくしゅ- 熟成タイプ

●香味の特徴
黄金色などの色調、ドライフルーツやスパイスに例えられる熟成香、とろりとした飲み口と濃厚な味わいを持った、個性的な日本酒です。ハチミツ、メープルシロップ、ドライフルーツ、干したキノコのような重厚な香りがするものが多いです。

●該当する日本酒
「古酒」「長期熟成酒」と表記されたものが主に該当。純米酒や吟醸酒といった特定名称酒の種類にかかわらず、3年以上(特に10年以上)熟成させたものが典型的な熟酒となります。非常に個性が強く、また高価で希少価値の高いタイプの熟酒は、万人好みとはいえませんが、他のタイプにはない芳醇な香味を持つため、日本酒通がじっくり嗜むに価します。また、高級ワインや高級ウイスキーが熟成を尊ぶように、日本酒も世界の銘酒と肩を並べるには、熟酒の存在が欠かせません。

日本酒を選ぶ際は4タイプを念頭に置いて

日本酒を注文する際は、

「フルーティーな香りの高いタイプのものをください」
「すっきりした飲み口のお酒が好み」
「コクのあるものがいい」
「熟成されている中でも比較的飲みやすいものを」

など、4タイプの表現で伝えると、お店側も絞り込みやすく、「イメージしていたものと全然違う味のお酒が出てきた」なんてことが避けられるはずです。特に、このメソッドを習得している、唎酒師がいるお店なら、あなたの好みのタイプの中から、その日のおすすめ銘柄をいくつか提案してくれることでしょう。

4タイプ分類を使って、自分好み香味の傾向を知り、日本酒をもっと簡単に楽しみましょう。

【参考】
・『酒仙人直伝 よくわかる日本酒』 出版:NPO法人FBO
【注意事項】
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・記事・データ等は予告なく変更する場合がありますのでご了承ください。

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次は「シーンに合わせて選ぶ秘訣」を学びましょう

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さけぱる編集部
唎酒師の認定団体であるSSIの広報室所属アラサーチームで構成されている、さけぱる編集部です。私たちのような世代の皆さまが、お酒をもっとお洒落に気軽にスマートに楽しめるよう、たくさんの素敵な情報をお届けできるよう頑張ります🍶

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