酒のプロはこうしている!お酒との上手な付き合い方 ~にほんしゅ 北井一彰さん~

この記事を読んでくだっている方は、お酒が好き!という方が多いと思います。しかし、お酒は美味しい・リラックス効果がある……などのメリットもありつつ、付き合い方を間違えてしまえば失敗や健康被害をもたらすこともありますよね。

そこで今回は、私たちが今後もお酒を美味しく飲み続けるために、普段お酒を飲む機会の多い「お酒のプロ」達はどのようにお酒と上手に付き合っているのかをインタビュー。
初回は、日本酒のきき酒師の漫才師「にほんしゅ」の北井一彰さんに教えていただきました。

 

北井さんの“お酒との上手な付き合い方”とは

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唎酒師の資格を持ち、さまざまな日本酒関連のイベントへの登壇も多い北井さん。もちろんご自身も大の「お酒好き!」です。普段お酒との付き合い方はどのように意識されているのでしょうか?

「意識しているのは“量”と“時間”ですね。お酒を飲む時に身体に影響のある最大要因はお酒の“量”ですから、自分が気持ちよく酔える適正量は超えないようにしています。たとえば僕は2時間くらいかけて4合くらいを飲むのが体質的にちょうど良い感じ。翌日のことも考えて『朝にお酒が抜けた状態にするためには10時間は間を空けたいから、今日は19時から2時間くらい晩酌をしよう』なんてきちんと決めてから飲み始めます」(北井さん)

最近はコロナ禍の影響で飲み会はほとんどないものの、「芸人の先輩との飲み会」のようになかなか終わりの時間も読めず、自分のペースを厳守できないような場ではできるだけ間に水を飲み、お酒の量を調整していたのだそう。

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そんな自己管理が徹底できている北井さんですが、過去にお酒で失敗したなと思ったことはあるのでしょうか?

「もちろんありますよ!楽しくなりすぎて、ついつい飲みすぎてしまった翌日に後悔したことは何度もあります。そういう時は水や緑茶を多めに飲んだり、ポカリスエットのような糖分を含むスポーツドリンクを飲んだりして、胃にできるだけ負担をかけないように食事はゼリー状飲料。早くアルコールを分解させるようにしますね」(北井さん)

そんな失敗経験も経て、健康のためにも最近では「飲む日と飲まない日のメリハリはきっちりつけるようにしている」といいます。

「今は自分なりに適切なお酒の飲み方を習得できたので問題ないのですが、過去には肝臓の数値が良くなかった時期もありました。フリーランスで仕事をしていることもあり、自治体で受けられる健康診断以外にもちゃんと隅々まで調べられる人間ドック行かないといけないなと思ってはいるのですが……なかなか行けていない状況です。だからここで宣言しますね、今年はちゃんと人間ドッグを受けます!(笑)」(北井さん)

自分の体質に合った自己管理、そして定期的な健康診断での身体の状態を把握した上でお酒を楽しむのが大切ですよね!

酔いにくいポイントは「油」と「〆の炭水化物」

お酒は「酔える」ことも醍醐味のひとつ。とはいえ、あまりにも酔いすぎてしまうとその場を楽しめなかったり、翌日に残ってしまったりなど弊害があります。

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できるだけ「必要以上に酔わない」ために北井さんが工夫していることはあるのでしょうか?

「『酒好き医師が教える最高の飲み方』(日経BP社)という本で読んだのですが、お酒を飲むときには序盤に油分を含んだ食事を一緒に摂るようにすると良いのだそうです。お酒のアルコール分は胃で5%、腸で95%吸収されてしまうということで、飲んだものがすぐに腸に行ってしまうと酔いが回るのが早くなりやすい。だから、胃の中に油分の多いポテトサラダや唐揚げをまず入れておいて、油分は胃の中に留まりやすいですからアルコール分も共にできるだけキープしておいた状態を保ってもらうわけです。そうして徐々に腸にアルコールが流れていけば、急激に酔ってしまうこともないということで、これは普段実践しています。

あとは、最後に軽く〆の炭水化物を食べることですね。アルコールの分解には糖分が必要なので、たとえば少量のお茶漬けや焼きおにぎり1個なんかを食べて糖分を補給することで、アルコールの分解を助けてくれるんだそうです。さらに僕は飲み会帰りなら2~3時間歩くなどして適度な運動をしつつ帰宅し、寝るようにしています。これを実践するようになってからは酔いにくくなったと思います」(北井さん)

北井さんも驚いた、「酒のプロ」の飲み方

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酔いにくい方法を日々実践するなど、かなりお酒との付き合い方が上手な印象の北井さんですが、仕事柄多く接する「酒のプロ」……杜氏さん達のお酒の飲み方には驚いたといいます。

「酒蔵に泊まり込みでお手伝いに行くことがあるのですが、酒造りをしている期間でも杜氏さん達って毎日のように宴会をしてお酒を飲んでいるんですよね。だけど、二日酔いになっていたり、肝臓の数値が悪いと悩んでいたりする方ってほとんどいないんです。なぜかを考えたのですが、酒造りは早朝から夕方までかなりハードな肉体労働です。杜氏さんたちは皆、日中はしっかりと身体を動かし、食事もしっかり摂りつつ、そして夜には適量のお酒を楽しんでいる。さらに酒造りのスケジュールに合わせて規則正しい生活を送っている、これがポイントなのではないかと思いました。やはり身体をしっかり動かしていることが大切なのではないかと。

あとは杜氏さん達の宴会では燗酒を飲む割合が多かったのもポイントかもしれません。温かいお酒の方が体温に近い分、分解と吸収が早いので酔いが回っているのを自分で把握しやすく、「そろそろやめておこう」と気づきやすいんですよね。

そのことに気づいてからは、僕もできるだけ身体を動かすようにしていて、散歩と1時間程度の筋トレが日課になっています。やっぱり身体を動かした日はビールも日本酒も美味しいですし、逆に運動をしなかった日はなぜかダラダラと飲んでしまったりするので、実感としてもありますね」(北井さん)

酒は「明日への活力」

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漫才コンビの名前に「にほんしゅ」とつけてしまうほど日本酒愛があり、そしてお酒が大好きな北井さんにとって、お酒とはどのような存在なのでしょうか。

「以前参加した大阪のお酒のイベントで、商店街の焼き鳥屋さんが開会の挨拶をした時の言葉が印象に残っています。『なぜお酒を飲むのか?明日のために飲むんです、乾杯!』とシンプルな言葉だったんですけど。この意味について改めて考えてみると、お酒って我々にとってまさに“明日への活力”なんですよね。

美味しいお酒と過ごした良い時間があると「明日も仕事を頑張ろう」と思える。だからできるだけお酒とは良い付き合いをしていきたいし、晩酌で飲むお酒にはこだわりのご褒美的なお酒を用意するのがマイルールです。そんなお酒はやっぱり……僕にとって『すべて』ですね!」(北井さん)

日本酒が大好きだからこそ、しっかりとした自己管理と「美味しく健康的に飲む」ための工夫を日々されている北井さん。そのお話は私たちもマネできるポイントが多くありました!

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時間と量の管理、そして適度な運動を意識しつつ、明日への活力となるお酒を楽しみましょう!

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ライター紹介🍶

松本果歩
恋愛・就職・食レポ記事を数多く執筆し、
社長インタビューから芸能取材までジャンル問わず興味の赴くままに執筆するフリーランスライター。
お酒好きが高じて国際唎酒師の資格を取得、日本酒のお店でも働いています。
Twitter:@KA_HO_MA

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