国際唎酒師のひとりごと〜日本酒を飲みすぎないで・・・

「Sake?なにそれ?」

国際唎酒師として、外国人に日本酒を広めようと頑張っている私、藤代あゆみ。世界で日本酒ブームなんて言われますが、「日本酒(Sake)って知ってる?」と聞いても、何度もこんな反応をされたことがあります。

やっと、日本酒を飲んだことがある外国人に出会っても、

「あ〜、Sakeなら一回飲んだことあるけど、もう飲まないかな……。」

なんて言われる始末。私は、胸を張って「唎酒師です!」と言いたかったのに、出鼻をくじかれてしまった、とがっくり肩を落とすこともありました。それでも、「どうして、あんまり好きじゃなかったの?」と聞いてみると、「だって二日酔いがひどかったんだもん。」と返されることが多かったのです。

もしかして、これを読んでいるあなたも、日本酒を飲んだ翌日、二日酔いに苦しんだ経験、ありませんか?私は、あります。何度も。。。

日本酒、一気飲み、ちょっと待って!

日本で日本酒を飲むときは、おちょこを使いますよね。いろんな形やデザインがあって、おちょこを集めたりすることも日本酒の楽しみの一つです。日本酒のボトルや、徳利から、とくとくとく・・・とやさしく注いで、ちびちびやるのがたまらないですね!あっという間に空いたおちょこに、もう一杯注いで、またちびちび。そんなことを繰り返していると、気がつけば結構な量を飲んでしまっていることも。

外国人におちょこで日本酒を出すと、特に初めての人は、その日本らしさ、可愛さにとても喜んでくれます!でも、一瞬、「これどうやって(どのくらい)飲むの?」みたいな迷いを見せることがあります。そして、説明する間もなく、グイッと一口で飲み干してしまう人がよくいるんです。「あー!待って!」なんて言っても後の祭り。ショットグラスに入ったテキーラのように、一気飲みされてしまっている。こういうときは、「二杯目からはゆっくりちびちび飲んでね。」と言えばそれでOKなのですが、困ったことに「おちょこだと、なんかつい一気飲みしたくなっちゃう」人たちがいます。もっと困ることは、私にも「一緒におちょこで日本酒を一気飲みしよう!」と誘ってくることです(笑)

こんな風に、日本酒を一気飲みし続けていたら、そりゃあ翌日二日酔いになっても仕方がないですよね。飲み方が原因で、日本酒を敬遠されてしまうなんて、なんだか残念ですが、おちょこでちびちび飲む文化が海外でももっと知られて、早く定着するといいなと思っています。

ワイングラスなら大丈夫?

「おちょこだと一気飲みされてしまうなら、ワイングラスにすればいいじゃない!」

そうすれば、一気飲みはしないから、二日酔いを防止できそうですよね。ところが、そうは問屋が卸さないのです。一般的に、ワインのアルコール度数は約12%といわれていますが、日本酒は約15%が平均で、強いものだと、20%にもなってしまいます。ワイングラスだから、と普段ワインを飲むときと同じくらいの量の日本酒を飲むと、アルコールをいつもよりも、もっと摂取していることになっちゃうんです。だから、結局また「日本酒を飲むと二日酔いになる。」となってしまい、日本酒そのものが敬遠されてしまう原因に。ああ、日本酒がどんどん遠ざかっていく……。

水飲んで!も難しい

日本酒に限らず、お酒を飲むときは、二日酔いにならないように、ちょくちょくお水を飲みましょう、なんていいますよね。二日酔い防止になるだけでなく、お水を飲むことで口の中がさっぱりするので、私もお酒を飲むときにお水を意識しています。

だから、日本酒を飲み慣れていない外国の方に日本酒を飲んでもらうときにも、お水の大事さを伝えています。ところが、「お水ください。」と頼んで、無料で出てくるのは日本くらい。海外ではお水も有料なことがほとんどです。日本酒を飲みはじめるときに、お水を頼んでおくのには抵抗がなくても、宴もたけなわ、日本酒が残りわずかとなった段階で、お水がなくなっていると、わざわざ追加で注文しないものです。そして、そう、また「日本酒を飲んだら二日酔いになった。」という体験になってしまいます。

日本酒を飲みすぎないで・・・

だからこの際、あえて言い切りましょう。初めて日本酒を飲む人、特に外国の方は、日本酒を飲みすぎないで欲しいのです!初めての日本酒がおいしくて、たくさん飲んでもらえるのは嬉しい。でも、日本酒がワインよりも少しアルコール度数が高いことを知らずに、飲みすぎた結果、二日酔いになってしまったら、「また日本酒を飲もう!」とはならないですよね。「しばらく日本酒はいいや。」とか、「次は気をつけよう。」という風に、遠ざけてしまうものです。日本酒を飲みすぎて、敬遠されてしまったら、本末転倒。日本酒好きが増えません!

でも、そういえば、こんなことを言われたことがあるのを思い出しました。

「あゆみが、おいしそうに日本酒をどんどん飲むのにつられて、あの日はたくさん飲んじゃったから、翌日、二日酔いだったよ〜!」

あれ、もしかして、私も原因だった……?

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【参考】
・『新訂 日本酒の基』(NPO法人FBO)
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ライター紹介🍶

藤代あゆみ
平成元年、東京生まれ、共立女子大学文芸学部劇芸術コース卒。日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)公認国際唎酒師・日本酒学講師・酒匠。「日本酒オタクのあゆみせんせい」として、シンガポールを中心に、アジア、オセアニア、ヨーロッパ、北米、南米など世界20カ国以上の人に向けて日本酒を広める活動を経験。好きな漫画は『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(平尾アウリ著、徳間書店)
Official Website:https://www.ayumi-and-sake.tokyo/
Twitter:@ayumi_and_sake
Instagram:@ayumi_and_sake
noteサークル:https://note.com/ayumi_and_sake/circle

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