もうすぐ春、とはいえまだまだ寒い日が続きますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。「日本酒オタクのあゆみせんせい」こと、SSI公認国際唎酒師・日本酒学講師・酒匠の藤代あゆみです。
木曜日といえば、すっかりおなじみ(?)になってきました、“木曜日は日本酒で乾杯”も第三回目です。前回は、日本酒を軸に、世界のお酒の知識をご紹介しました。
その中でもポイントとなったのが、お酒を飲むときの温度。寒い時期には日本酒を熱燗で飲むのが最高ですよね!時間があるときは、湯煎でじっくり丁寧に温めて、時間がないときは、耐熱の容器に入れて、電子レンジで数十秒・・・。日本酒のプロである私だって、手間ひまかける余裕がないときには、無理せず簡単な方法で熱燗を楽しんでいますよ。ちなみに、電子レンジで熱燗にするときは、日本酒のいい香りが飛ばないよう、ラップをふんわりかけると、美味しく熱燗が楽しめます!
せっかくなので、今回の記事は、熱燗をちびちびやりながら、楽しく読んでみてくださいね。
ここでクイズです。日本酒は英語で”Sake”(サケ/または、サキ)といいますが、熱燗はなんというでしょうか?答えは、
”Hot Sake”(ホット・サケ)
です。英語に苦手意識がある方でも、簡単に覚えられますね。実は、この”Hot Sake”(ホット・サケ)は海外でも楽しまれる飲み方なのです。
英語で”Cool”(クール)というのは、「冷たい」という意味だけではなく、「かっこいい」という意味もあります。”Hot”(ホット)は「熱い」ことを指しますが、”Hot Sake”(ホット・サケ)を飲むことは、”Cool”(クール)=「かっこいい」ことでもあるのです。
私が約7年間過ごしたシンガポールでも、通な日本酒好きほど熱燗にして楽しんでいましたし、アメリカでも、日本酒は冷やより熱燗が好まれるそうです。
なぜ、日本酒を熱燗で飲むことがかっこいいのでしょうか。
前回も書きましたが、お酒に手を加えず、そのまま温めて飲んでも美味しいお酒というのが日本酒くらいだからなのです。冷やしたり、常温でお酒を楽しむ海外の人からすると、温めて楽しめるというのが斬新に映るのかもしれません。
日本に暮らし、日本酒が好きな人であれば、当たり前のように楽しんでいる熱燗も、世界ではめずらしくて、かっこいいもの。なんだか、いつも飲んでいる熱燗が、より美味しく楽しめるような気がしませんか。
日本酒を飲む(頼む)とき、「冷やで」とか、「熱燗で」と言ったり、「常温で」なんて言い方もしますよね。ここでまたクイズです。「常温」って英語でなんていうか、わかりますか?
“Room temperature”(ルーム・テムペラチャー)
“Room”(ルーム)というのは「部屋」のこと、”Temperature”(テムペラーチャー)は「温度」という意味なので、直訳すると、「部屋の温度」となります。
日本語で「常温ってなに?」なんて聞かれたら、少し戸惑ってしまうかもしれませんが、英語の表現を知っていると、「(冷蔵庫などに入れていない/温めてもいない)部屋の温度」という意味ですので、こちらの方が、具体的でわかりやすいですね。
また、日本酒の「冷や」の温度は、冷蔵庫でキンキンに冷やしたように冷たいとは限らないって知っていましたか?「冷や」の日本酒は、常温のこともあるのです。ですから、「冷や」を”Not hot”(ノット・ホット)=「熱くない」と英語で説明すると、しっくりくるかもしれません。”Not”(ノット)は否定の意味の英単語ですから、”Hot”(ホット)ではないということになります。
キンキンに冷やしているかもしれないし、常温かもしれない、つまり、熱くはない。「冷や」は”Not hot”(ノット・ホット)だとわかっていただければ、「冷やで頼んだのに、なんだか冷たくないなあ・・・」なんて感じることはなくなります。
日本酒の話をしようとすると、見たこともないような漢字が出てきたり、専門的で難しい日本語だったり、とにかくとっつきにくいのです・・・。
しかし、こうやって英語を交えて説明してみると、逆にわかりやすいこともあります。
“木曜日は日本酒で乾杯”を読んでくださるあなたは、お酒を楽しめるヒントを得られるだけでなく、英語を通じて日本酒やその他のお酒をより深く理解できるようになりますよ!
隔週木曜日に更新を予定しているこの連載では、「明日」が休みのあなたに、そして明日あと一日働けば休みというあなたにも、もっと楽しくお酒を飲んでいただけるヒントをお伝えしていきます。
こちらの記事を読んで、今日は日本酒で乾杯しようかな! と思った方は、ぜひTwitterやInstagramなどで「#木曜日は日本酒で乾杯」をつけて投稿してくださいね!
一緒にお酒を飲む時間を盛り上げていきましょう〜!
【注意事項】
・記事、データ等の著作権その他一切の権利は日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)に帰属します。
・記事・データ等は予告なく変更する場合がありますのでご了承ください。
藤代あゆみ
平成元年、東京生まれ、共立女子大学文芸学部劇芸術コース卒。日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)公認国際唎酒師・日本酒学講師・酒匠。「日本酒オタクのあゆみせんせい」として、シンガポールを中心に、アジア、オセアニア、ヨーロッパ、北米、南米など世界20カ国以上の人に向けて日本酒を広める活動を経験。好きな漫画は『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(平尾アウリ著、徳間書店)
Official Website:https://www.ayumi-and-sake.tokyo/
Twitter:@ayumi_and_sake
Instagram:@ayumi_and_sake
noteサークル:https://note.com/ayumi_and_sake/circle