いよいよこのシリーズも第5回。前回は「今夜はWine?それともSake?国際唎酒師が教えるお酒選びのコツ」として、お酒選びのコツをご紹介しました。
「今夜は日本酒にしよう!」そんなあなたに贈る今回の記事では、日本酒のプロである「日本酒オタクのあゆみせんせい」こと、SSI公認国際唎酒師・日本酒学講師・酒匠の私、藤代あゆみが日本酒の選びのヒントになる、4つの秘訣をご紹介します。
お店で日本酒を頼むとき、「一合(いちごう)でいいですか?」と聞かれたことはありませんか。なんとなく、一合で頼むけれど、実際はどれくらいの量か知らない人も多いかもしれません。
「合(ごう)」というのは、日本独自の単位のため、海外ではまったく知られていません。ですから、英語のメニューだと、ml(ミリリットル)で表記されています。一合は、正式には180mlですので、カップ1杯よりはちょっとだけ少ない量だと思ってください。
さて、前置きが長くなりましたが、日本酒を選ぶとき、まずどれくらい飲むかを決めるのがおすすめです。1人で飲むのか、誰かと飲むのかでも変わってきますね。
大きな一升瓶ほど、お得な価格設定ですが、飲みきるのに何日もかかってしまうと、日本酒の香りを楽しめなくなってしまうことがあります。ですから、なるべくその日に飲み切れる量を決めましょう。
日本酒の値段はピンキリです。100円台のものもあれば、数千円、高級な日本酒だと数万円するものもたくさんあります。お祝いだから、いいお値段のする日本酒にしよう!なんてときには、それほど予算も気にならないかもしれません。しかし、毎回そういうわけにはいきませんよね。
お財布と相談しながら、予算を決めておきましょう!
日本酒を飲むときは和食が多いかもしれませんが、実は、どんな料理にでも合うのは前回もお話した通りです。
一回の食事では、さまざまなものを食べますよね。全体的にみたとき、または、日本酒を飲みながら食べたいものがあるとき、それが、さっぱりとしていて軽めなものなのか、こってりとしてしている重めのものなのかを考えてみましょう。
飲食店などで提供される場合は、150ml程度のことがあります。日本酒のラベルを見ると、「純米大吟醸」と書いてあったり、「本醸造」と書いてあったりします。
こういった種類は9つにも渡っていて、それぞれ細かく覚えようとすると結構大変です・・・。
そんなとき、役に立つのが日本酒の味わいを4タイプに分類したもの。実は日本語より、英語でみた方がわかりやすいのです。
それでは、さっそくみていきましょう!
① Aromatic Sake(アロマティック・サケ)
アロマティックな日本酒と聞くと、なんだかいい香りがするんだろうなと思いませんか?その通りで、フルーティーな香りがして、飲みやすい日本酒がここに分類されます。日本語だと「薫酒(くんしゅ)」といいます。
食前や軽めの食事にぴったりですし、日本酒を飲み慣れていない人にも気に入ってもらいやすい種類です。
主なラベル表記:純米大吟醸・純米吟醸・大吟醸・吟醸
② Refreshing Sake(リフレッシング・サケ)
リフレッシュな日本酒とあるだけに、爽やかな味わいです。その名の通り、日本語では「爽酒(そうしゅ)」といいます。
”Aromatic Sake”(アロマティック・サケ)に比べると、香りは少ないですが、その分、お料理を邪魔しないので、食事にとても合わせやすい日本酒です。
主なラベル表記:本醸造・普通酒(純米といった表記がされていないもののこと)
③ Rich Sake(リッチ・サケ)
リッチな日本酒と聞くと、お金持ち向けの高い日本酒なの?と思うかもしれません。”Rich”(リッチ)は、豊富という意味もありますので、味の話になると、コクのある味わいを指します。ですから、”Rich Sake”(リッチ・サケ)は、味がしっかりした日本酒のことです。
日本語だと「醇酒(じゅんしゅ)」といいます。日本酒をよく飲む人が好むタイプで、こってりした重めの食べ物や、味が濃い食事にもぴったりです。
主なラベル表記:純米・特別純米・生酛(伝統的な製法でつくられたもの)
④ Aged Sake(エイジド・サケ)
“Age”(エイジ)は、年齢という意味ですが、ここに”d”がつくと、「年を重ねた」という意味になります。日本語では「熟酒(じゅくしゅ)」といい、数年以上寝かせた熟成酒をこのように呼ぶのです。
時間がつくり出す、豊な香りや深みのある味わいが特徴で、食事に合わせるのであれば、重めのものが合い、食後酒としてゆっくり味わうのもおすすめです。
主なラベル表記:古酒・熟成酒・熟成古酒・長期熟成酒
日本酒の4タイプ分類を元に、それぞれの秘訣を、以下の表にまとめてみました。
4タイプ | Aromatic Sake
薫酒 |
Refreshing Sake
爽酒 |
Rich Sake
醇酒 |
Aged Sake
熟酒 |
主な ラベル表記 |
純米大吟醸・純米吟醸・大吟醸・吟醸 | 本醸造・普通酒 | 純米・特別純米・生酛 | 古酒・熟成酒・熟成古酒・長期熟成酒 |
よくある容量 | 720ml〜1800ml | 180ml〜
1800ml |
720ml〜1800ml | 720ml |
値段感 | 数千円〜数万円 | 数百円〜数千円 | 数千円〜数万円 | 数万円前後 |
食べ物 | 軽め | 軽め〜重め | 重め | 重め |
おすすめ | 日本酒初心者におすすめ | 気軽に飲みたいときにおすすめ | 日本酒好きにおすすめ | 特別なシーンにおすすめ |
「今日は、気軽に1人で日本酒を飲みながら、軽めの食事をしよう」なんてときには、少ない容量で値段もお手頃、軽めの食事にもある”Refreshing Sake”(リフレッシュング・サケ/爽酒)がおすすめなので、ラベルに本醸造と書いてあるものを選ぶといいですね。
「今夜は、友達カップルを家に招いて、4人で食事だから、ちょっといい日本酒でおもてなししたいな」となれば、4人でもちょうどいい720mlが多く、そこそこのお値段のものもあり、日本酒初心者にも向いている”Aromatic Sake”(アロマティック・サケ/薫酒)がおすすめです。
この連載を通じて、あなたも日本酒に詳しくなってきたのではないでしょうか。
次回はなんと、最終回!日本酒をもっと知りたいあなたに、プロの唎酒テクニックを特別に公開しますので、楽しみにしていてくださいね。
最後までどうぞお付き合いください。
隔週木曜日に更新を予定しているこの連載では、「明日」が休みのあなたに、そして明日あと一日働けば休みというあなたにも、もっと楽しくお酒を飲んでいただけるヒントをお伝えしていきます。
こちらの記事を読んで、今日は日本酒で乾杯しようかな! と思った方は、ぜひTwitterやInstagramなどで「#木曜日は日本酒で乾杯」をつけて投稿してくださいね!
一緒にお酒を飲む時間を盛り上げていきましょう〜!
【参考】
・『新訂 日本酒の基』(NPO法人FBO)
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藤代あゆみ
平成元年、東京生まれ、共立女子大学文芸学部劇芸術コース卒。日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)公認国際唎酒師・日本酒学講師・酒匠。「日本酒オタクのあゆみせんせい」として、シンガポールを中心に、アジア、オセアニア、ヨーロッパ、北米、南米など世界20カ国以上の人に向けて日本酒を広める活動を経験。好きな漫画は『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(平尾アウリ著、徳間書店)
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