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ー兵庫県ー美酒生む神秘の「灘の宮水」ー沢の鶴ー

今回は、六甲山の麓、酒造りで有名な兵庫県「神戸市 灘区」をご紹介します。

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❝灘❞と聞いてまず思い浮かぶのは、日本酒!という方は多いのではないでしょうか。

あまり日本酒は嗜まない、という方も「灘の男酒」という言葉を一度は耳にしたことがあるでしょう。それほど、灘は江戸時代より酒造りで有名な地です。

豊かな自然が育む名水「宮水」

神戸市灘区は、北は六甲山や摩耶山に面し、その山々から3本の川が南の瀬戸内海へ向かって流れる、自然豊かな地域でもあります。市街地の近くで山々の自然に触れることができるため、気軽にハイキングを楽しめるのも大きな魅力の一つです。
六甲山の眺望スポットである天覧台からは、神戸はもちろん、大阪平野部から和歌山方面までの景色を一望することができ、日が暮れると美しい夜景が昼とはまた違う表情を見せてくれます。

灘区のほぼ中央を流れる都賀川(全長約1,800メートル)は、六甲山を水源とする六甲川と摩耶山を水源とする杣谷川が合流した川です。かつてはどぶ川だったそうですが「都賀川を守ろう会」が中心となって川の清掃に努め、今では毎年多くの天然の鮎が遡上するほどの清流がよみがえり、憩いの場として親しまれています。

その都賀川のほど近くに、この豊かな自然が育んできた「水」を利用して、300年もの間、酒造りを続けてきた酒蔵「沢の鶴」があります。

※画像:沢の鶴公式サイトより(2022年4月14日現在)

宮水で造られる「秋晴れのする酒」

沢の鶴は、米屋であった初代が副業として酒造りを始めたことが発祥といいます。もともと米の目利きに長けていることに加え、環境省の「名水百選」にも選ばれ酒造りに最適として名高い「灘の宮水」を使って醸す日本酒は、灘の男酒と呼ばれるにふさわしい、スッキリとしたキレのある味わいを生み出しています。

※画像:沢の鶴公式サイトより(2022年4月14日現在)

兵庫県西宮市の旧海岸地域に湧き出す名水、宮水。この水は、六甲山に降った雨水が御影石と呼ばれる花崗岩地帯にしみ込み伏流水となって海岸方向へと流れ出し、そこへ六甲で湧き出す炭酸を含んだ水が地下にある古代の貝殻層を溶かして加わり、独特の成分を持った硬水となったものです。
この宮水は、日本酒の仕込みに欠かせない乳酸菌や、酵母菌の発育を促すリンやカリウムなどの鉱物質を豊富に含んでいます。さらに、酒質に悪影響をおよぼす鉄分が極めて少ないという、酒造りにこれ以上のものはないといわれるほどの水質を誇ります。

また、この硬度の高い宮水を使って冬場に醸した日本酒は、半年後の秋になると味に一段とまろやかさが出て品質が良くなることから、いわゆる「秋晴れのする酒」と称されています。これも、この酒造りに適した宮水があればこそだといいます。
宮水で造られた酒になぜ「秋晴れ」という熟成が起こるのか、その理由は、いまだ科学的には解明されていないそうです。まさに神の与えた神秘の水のなせる技ということでしょう。

沢の鶴で醸される日本酒は、今秋リニューアルしたというロングセラーの純米酒「米だけの酒」をはじめ、すべて宮水の源流に最も近い西宮市久保町にある「沢の鶴専用井戸」から汲み上げた宮水を仕込水に使っています。沢の鶴の酒が持つスッキリとしてコクのある特長的な味わいは、宮水の神秘な力の賜物ともいえます。

江戸時代から「灘の生一本」と呼ばれ人気を博した灘の酒を生む「灘の宮水」は、高度経済成長の一時期、高速道路やマンションなどの相次ぐ建設の影響で、採集が危ぶまれた時代もあったそうです。しかし酒造組合や地域住民らの尽力により、現在では質量ともに安定しているといいます。

この類いまれな水が絶えること無く、そして丁寧に人の手で造られる「沢の鶴」の酒がこの先も長くこの宮水で醸されていくよう、静かに盃を傾けながら願う時間も、また乙なものです。

【文章引用元】
・交通新聞 2021年12月17日発刊『美酒漫遊の旅㊺ 美酒生む 神秘の「灘の宮水」』より

【参考URL】

・交通新聞電子版 https://news.kotsu.co.jp/
・沢の鶴公式サイト https://www.sawanotsuru.co.jp/site/

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さけぱる編集部
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