新酒の季節到来!酒屋の軒先でよく見る「酒林」について解説!

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日本酒にとって、1年の幕開けとなる新酒の季節となりました!
この頃になると、酒蔵や酒屋の軒先に吊るされている、緑色で、まん丸で、チクチクしたものを見たことがありませんか?
今回は緑色の謎の物体、「酒林」について解説します。

「酒林(さかばやし)」とは?

杉の葉を球状に束ねてから表面を刈り取り、形を整えたもので、杉から造られていることもあり「杉玉」とも呼ばれます。
現在では日本酒の新酒の完成のサインとされているんですよ。

日本酒は、毎年秋に収穫された新米を冬から春先にかけての寒い時期に仕込むので、酒蔵などの軒先に吊るされるのは、2~3月頃となりますね。
でも、皆さんが稀に酒林を見かけたときって、ほとんどが茶色じゃありませんか?
実は酒林は最初、鮮やかな緑色をしていますが、徐々に枯れて茶色くなることで、新酒が熟成していっていることも表しているんですよ。
色でそんなこともわかるなんて知りませんでした!

左:新酒出来ました!    右:良い感じに熟成してきました!

酒林はどうやって作るの?

酒林の材料は、とってもシンプル。
〇簡単!酒林レシピ
材料
・新鮮な杉の葉(大量)
・竹ひご、または針金
作り方
1:竹ひご(または針金)で球状の籠を作ります。完成予定の大きさの「半分のサイズ」が目安です。
2:杉の葉の根元を球状の籠に差し込み、隙間をなくしていきます。

3:表面を丸く剪定すれば完成!

いかがでしょうか。
作業は一見単純そうですが、職人さんが1つ1つ手作りで、時間と労力をかけて作られているものなんですね!

酒林の起源と歴史

実は、正確な起源や由来などに関しては諸説あって、現在も正確なところは解明されていません。
しかし、有名な酒林にまつわるお話としては、大神神社の「醸造安全祈願祭(酒まつり)」があります。

大神神社は奈良県桜井市にあり、日本最古の神社の1つとされています。
主祭神は大物主大神(おおものぬしのおおかみ)で「偉大なあらゆるモノを主宰する神」を意味し、国造りの神様として、あらゆる人間生活の守護神として尊崇されています。
また、杜氏高橋活日命(たかはしのいくひのみこと)が大物主大神の神助(しんじょ)で美酒を醸(かも)したという謂(いわ)れからも、お酒と深い関わりを持っていることがわかりますね。
その大神神社で、毎年11月に催されるのが「醸造安全祈願祭(酒まつり)」です。
これは新酒の醸造の安全を祈る祭典で、全国の酒造家・杜氏・酒造関係者が参列します。
祭典後には醸造安全の赤い御幣と酒屋のシンボル「しるしの杉玉」が全国の酒造家・醸造元に授与されます。
これが「酒林」の由来の1つとされているんですね。
また、大物主大神は大神神社の後ろにある三輪山に鎮座しているため、山全体が神域で禁足地とされています。
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禁足地の杉から作られる酒林。なんだがものすごく、ご利益がありそう!!

冬は新酒の季節。日本酒を飲みましょう!

ここまで新酒の完成のサインである酒林についてお話をしてきましたが、ヨーロッパにも古くから、似た文化が存在します。
例えば、古代ローマ時代には、酒神バッカスの象徴である「キヅタの枝」を束にしたものを居酒屋に看板のように吊るしていたり、オーストリアの「ホイリゲ(ワインの新酒)」のシーズンには、小枝の束を酒場の前に掲げたり、などなど。
新酒に特別な感情を持っているのは、私たちだけではないんですね。

 

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なんだか、ますます日本酒に愛着がわいてきませんか?
今年の実りと新たな1年の幸せを祈って、新酒で乾杯なんていかがでしょうか。

また、フランスワインの新酒であるボージョレー・ヌーヴォーについてはこちらの記事をご覧ください。
あわせて読みたい!
11月18日(木)解禁!ボージョレー・ヌーヴォーのやさしい解説

【参考】
・新訂日本酒の基(NPO法人FBO)
日本における酒林の成立と発展に関する研究 -学会誌『技術と文明』別号(電子版)-
【公式】三輪明神大神神社ホームページ
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ライター紹介🍶

さんちゃそ
作って食べて飲むことが、趣味であり人生最大の楽しみ。
その過程で学んだ副産物を「知識のメモ」として記事に残しています。

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